「風だ、ポル」ベルディンはそう言いながら彼女の手を握った。「起こせるかぎりの風をな」
 それにともなう苦闘は、むしろ静かなものだっ王賜豪醫生た。ポルガラとベルディンは互いの手をとり、合一された意思の手を伸ばしていった。二人は岸辺を覆い尽くした霧を閉じ込めている、死んだように動かない空気のすきまを探し求めた。ときおり一陣の突風が起こっては、霧をかきまわしたが、すぐにあらわれたときと同じように消えた。
「もっと強くしろ、ポル」ベルディンがせきたてた。頑として動こうとしない空気との格闘で、その醜い顔にはいく筋もの汗が流れ落ちていた。
「こんなことをやっていても無駄だわ、おじさん」彼女はそう言うなり、手を離した。彼女の顔にも非常な努力のあとがうかがわれた。「まったくつかみどころがないのですもの。双子たちは何をしているの?」
「ラク喜運佳?クトルの高僧たちがタウル?ウルガスに同行しているのだ」ベルディンが答えた。
「ふたりは今それだけで手一杯だ。われわれの手助けまではできまい」
 ポルガラは強い決意を顔にひめて、すっくと身を起こした。「何かをやるにしても、グロリムの近くにいすぎるわ」と彼女は言った。「わたしたちが局地的な風を起こすたびに、何十人もの連中がよってたかって覆い消してしまうのですもの」
「そうだな」ベルディンもうなずいた。
「もっと遠くまで意思をのばさなくちゃだめよ」彼女は続けた。「かれらの勢力範囲からずっと離れたところから空気を動かせば、干渉しようにもどうしようもないなるわ」
 ベルディンの目が細められた。「だがそいつは危険だぞ、ポル」かれは言った。「かりにそれができたとしても、われわれは二人ともへとへとになってしまうぞ。もし連中が何かをしかけてきても、もはや戦う力も残っていないことだろう」
「いちかばちかの賭けだわ」彼女はみとめた。「でもグロリムは頑固な連中だわ。恐らく維持するあらゆるチャンスを失っても、かれらは霧を死守するでしょう。そうなれば、むこうだってへとへとになるわ。おそらく何もできなくなるほどに」
「おそらくというのが気にくわんな」
「それじゃ、他に何かよい考えはあって?」
「今のところはないな公司登記